2020年5月11日月曜日

五月の胸騒ぎ

皐月の空は明るく風に揺れる葉は緑に輝く、此の風に乗って我もふと何処かへ飛んで行きたくなる、五月は心落ち着かぬ。

田舎から出て来た者にとって五月は特別な感慨があるのだ。
大抵の者は三月~四月に東京に出て来て、不馴れな都会に必死で同化しようと奮闘する一ヵ月余りを過ごし、GWの連休で一息付いて「我に返る」のが五月の此の頃だった。

以来毎年五月になると、期せずして「我に返る」習慣が付いて、望郷の念が生じたり懐古の情が湧いたりなどして、青雲の志叶わずば童心に帰って何処かへ飛んで行きたくなるのだ。

特に北の方から出て来た者には、五月は冬籠りから解放されて陽光の下活発に行動する季節で、生まれながらにそわそわせずにいられない。

この心地は何十年経っても消えることなく我が心に潜んでいる。

嗚呼!
何もせず終ろうとしている、何も残さず終ろうとしている、一体全体何の為にここに、ただ出て来ただけか、そのうち我に返るべくも無くふと飛んで行くのだろう・・!