2017年11月1日水曜日

十三夜

今日11月1日は「十三夜」、”十三夜は晴れ”と謂うが、確かに今夜は雲が所々の晴れで、見事な月が出ている。
満月でなく左が若干欠けたところが風情らしい、不完全の妙をたのしむ先人の粋を感じる。

「十三夜」と聞くと、如何しても樋口一葉に触れたくなる、とても気にしている女性作家で、その短い24年の人生が胸を打つ。
竜泉の資料館や本郷西片の住い跡に残された井戸、近くの明大前に在る築地本願寺堀ノ内廟所の素朴なお墓、皆偶然に近くを訪れて気付いて寄った。

今時の「十三夜」や大晦日の「おおつもごり」になると思い出されて神妙な気分になる。

日頃五千円札で御目に掛かって入る筈だが、しみじみと見ないし彼女は札に似合わないと思う。
後半生をお金の不自由で苦しんだ事を想うと、不釣合いでしかない。
明治期最初の女性小説家として漱石との対比で採用されたのだろうが、漱石が千円で一葉が五千円は何だか皮肉だと思う。笑

其れでも平たく想えば、わずか24年の生涯、しかも今に残る小説を書いたのは晩年の一年半足らずで、お札の肖像に選ばれるのだから大した人なのだ。

只、後世これだけ評判になっても、家族の為に懸命に生き、力尽きて病に倒れた彼女を想うと決して嬉しくない、生きている時にもっと恵まれて欲しかったと思う。

あのひとを想えば辛し十三夜

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